
まだ見ぬ領域に足を踏み入れるという事。
それは物凄く勇気がいることです。又、その世界が偏見から好奇心と変わった世界ならなおさらの事です。
「お帰りなさいませ♪ご主人様」と一喝されるのはわかっているんです・・。
しかし、どんな顔していいのかがわかりません。
卒業式で「卒業生入場!!」といわれ、入場の時にどんな顔して入場したらいいのか分からない感じと似ています。
笑っていいのか・・。
真面目な顔していいのか・・。
はたまた、最初から泣くのか・・。
そんな事を話しながらドアの前まで来ました。
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どれくらいの秒数が流れたのでしょう・・。
「このままではチキン野郎で終ってしまう」
ここを出る時には戦友だ!!ひと皮剥けた姿で横浜に帰ろう!!
言葉にこそ出していませんが、きっと私達の心は1つだったでしょう。
「入るぞ!!」
「はい!!」
ギィ~ィ~
ドアが開ききる前に飛んできましたあの言葉・・・
お帰りなさいませご主人様ぁ~♪
唖然・・。
一瞬なにが起こったのか理解ができませんでした。
そして私達が唯一返せた返答・・「あっ・・。どうも。」
「ご主人様は初めてのご帰宅ですか?」
彼女が発する言葉・声・オーラ、そのすべてに圧倒され、完全にアウェイ状態のサラリーマン風の既婚者2人。
これが噂のメイド喫茶かぁ~
私達は、ご主人様という有利な立場を忘れ、ただただメイドに言われたことに頷き、席へと案内されました。
店内は、聴いたことのない、甘~い声の歌声が流れ、壁にはパズル。何かのキャラでしょうか?フィギュアが並び、カウンターとテーブル席が5卓ほど並ぶけして広くない空間。そこにフリフリの衣装を纏ったメイドさんが5~6人程ウロチョロしています。
そして、私達の隣の席には、見るからにレベルの高そうな猛者が2名。
完全にその場の雰囲気に飲まれた2人に対して・・
「ご主人様ぁ~♪お飲み物は何になさいますか?」
私達の挙動不審な素振りも御構いなしに、場の空気を読めないメイドは、あの独特なあま~い声で私達に仕えてきます。
「じゃ・・。じゃあ~とりあえず生」
あっ!!
しっ・・しまった・・。
自分達が今何処に腰を下ろしているかも忘れ、完全に居酒屋の乗りで注文・・
その瞬間です!!何かすごく冷たい殺気のようなものが私の右後頭部に集中しました。
そうです!!私達の隣に陣取る猛者達が、私達を見ているんです!!
私はあの瞬間の、猛者達の冷たい視線が忘れられません。
「お前ら、ここ来てアルコール??アイスコーヒー頼んでミルクとガムシロをメイドに入れてもらうのがご主人様じゃね~の?」←(※想像)
街中で出会っていたら、完全に逆の立場でしょう・・
私達は、目をそらす以外何も出来ないでいました。
「姫ちゃんのリボン」というマンガの、最終回の話題で盛り上がるメイドと猛者の隣で、完全に場違いな事に気づいた既婚者2名。
無言でドリンクを待つ私達の胸には、今話題の「がばいばあちゃん」の言葉がしみていた事でしょう・・
【2人、3人に嫌われても・・・あと地球には、六十億人が居るよ】
ばぁ~ちゃ~ん!!
次回につづく・・

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